介護職の面接で退職理由をどう伝えるか|採用担当者が教える言い換え例文

面接官のホンネ

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結論:介護職の面接で退職理由を聞かれたら、「事実を短く」→「そこから考えたこと」→「だから次の職場で何をしたいか」の順で話すのが基本です。

採用担当者が見ているのは「辞めた理由」そのものより、同じ理由でまた辞めないかと、前の職場をどう語るかです。

本音を隠す必要はありません。ネガティブな理由も、言い換えと順番しだいで「この人は軸がある」と伝わります。

この記事を書いた人
社会福祉法人の人事責任者として、約700名規模の法人で採用・労務・組織開発・業務効率化を担当しています。これまで数多くの面接を担当してきました。

面接官は退職理由の「何」を見ているのか

介護・福祉の面接では、「前の職場を辞めた(辞めようと思った)理由を教えてください」はほぼ必ず聞かれる質問です。採用担当者として、私がこの質問で確認しているのは次の3つです。

  1. 同じ理由で、うちでも辞めないか:退職理由が当法人でも起こりうることなら、入職後に同じ壁にぶつかる可能性が高いと考えます。
  2. 話に一貫性があるか:退職理由・志望動機・これからやりたいことが一本の線でつながっているか。
  3. 前の職場をどう語るか:不満の伝え方に、その人の人間関係のつくり方が表れます。

採用担当者の現場から(筆者の実体験)

面接で評価が下がりやすいのは、前職の悪口が中心になってしまう人と、表情が乏しく、気持ちが伝わってこない人です。逆に「この人と働きたい」と感じるのは、話に一貫性があって、愛嬌のある人です。

もう一つ、私が面接で必ず聞いているのが「次の職場に何を求めているか」です。そのうえで、それが当法人で実現できるかどうかを一緒に確かめます。退職理由は、この「求めていること」を知るための入口だと考えています。

また、経験上、「なぜ福祉の仕事なのか」「なぜこの仕事なのか」という軸を自分の言葉で話せない人は、壁にぶつかったときに早く辞めてしまいやすいと感じています。退職理由を話すときも、この軸が見えると安心感がまったく違います。

退職理由を伝える基本の型|「事実→考えたこと→次にしたいこと」

どんな退職理由でも、次の3ステップで組み立てると話がぶれません。

ステップ 話す内容 目安の長さ
① 事実 何があったか、何に困っていたかを短く 1〜2文
② 考えたこと その経験から気づいたこと、自分なりに工夫したこと 1〜2文
③ 次にしたいこと だから応募先で何をしたいか(志望動機につなげる) 1〜2文

ポイントは、①を短く、③を厚くすることです。不満の説明が長くなるほど、面接官の印象には「不満」だけが残ります。全体で1分程度に収まると聞きやすいです。

③の「次にしたいこと」は、志望動機とそのままつながります。志望動機の組み立て方は志望動機で差がつくポイント|介護・福祉業界編で詳しく解説しています。

理由別の言い換え例文

ここからは、介護職でよくある退職理由ごとに、NG例と言い換え例を紹介します。例文はそのまま使うより、ご自身の事実に合わせて言葉を変えてください。面接官は「どこかで聞いた答え」にすぐ気づきます。

① 人間関係がつらかった

NG例:「リーダーが厳しくて、職員同士の陰口も多く、もう耐えられませんでした。」

言い換え例:「前の職場では、職員ごとにケアの方法が違い、申し送りで食い違いが起きることが多くありました。自分なりに記録の書き方をそろえる提案もしましたが、チームで話し合う場が少なく、改善が進みませんでした。御法人ではカンファレンスなどでケアの方針を共有していると伺い、チームで同じ方向を向いて働きたいと考え応募しました。」

人のことではなく「仕組み・環境」の話に置き換えると、悪口に聞こえにくくなります。人間関係そのものに悩んでいる方は、介護職の人間関係がつらいときの対処法も参考にしてください。

② 給料が低かった・上がらなかった

NG例:「仕事のわりに給料が安すぎたからです。」

言い換え例:「介護福祉士を取得したので、資格を活かして役割を広げ、それが評価や処遇につながる環境で働きたいと考えました。御法人はキャリアパスと資格手当が明確に示されていたので、長く働きながら力をつけられると感じています。」

お金の話は悪いことではありません。ただし「もらう」話だけでなく「何を担うか」とセットで話すと、前向きに伝わります。具体的な給与条件は、面接の後半や内定後に確認するのが自然です(確認の仕方は内定後に確認すべき労働条件の記事にまとめています)。

③ 夜勤・体力的にきつかった

NG例:「夜勤がしんどくて体を壊しそうだったので。」

言い換え例:「夜勤を含むシフトで5年働きましたが、体調管理が難しくなり、利用者さんに安定したケアを続けるためにも働き方を見直したいと考えました。日勤帯でも、これまでの入浴や排泄介助の経験を活かして、チームの戦力になりたいと思っています。」

体力面の理由は、「長く安定して働くための選択」として話すと納得感が出ます。夜勤の負担については介護職の夜勤がつらいときの対処法でも解説しています。

④ 家庭の事情(子育て・介護・引っ越し)

言い換え例:「子どもの小学校入学に合わせて、勤務時間を見直す必要がありました。前の職場では時間帯の調整が難しかったため退職しました。現在は平日9時〜16時であれば安定して勤務できます。」

家庭の事情は正直に話して問題ありません。大事なのは、「今はどの条件なら確実に働けるか」をはっきり伝えることです。採用する側として一番困るのは、面接で話した勤務日数や時間を、入職後に働けなくなるケースだからです。

⑤ 法人・施設の方針が合わなかった

NG例:「上の考え方がおかしいと思ったので。」

言い換え例:「前の施設では業務の効率を優先する場面が多く、利用者さん一人ひとりと関わる時間を取ることが難しいと感じていました。私は、ご本人のペースに合わせた個別ケアに力を入れたいと考えています。御法人の理念にある『〇〇』に共感し、応募しました。」

方針の違いは、「自分が大切にしたいケア」として言い直すのがコツです。そのうえで応募先の理念と結びつけると、一貫性のある話になります。理念の見極め方は法人の理念と職場の雰囲気の見極め方を参考にしてください。

⑥ 短期間で辞めた・転職回数が多い

短期離職は、言い訳を重ねるより正直に、短く話す方が好印象です。「入職前の確認が足りず、勤務形態のミスマッチがありました。今回は見学で勤務の流れを確認したうえで応募しています」のように、次は同じことを起こさないための行動をセットにしましょう。転職回数が多い方は転職回数が多くても採用されるコツで詳しく解説しています。

退職理由を話すときにやってはいけないこと

  • 前職の悪口・特定の人の批判:内容が事実でも、面接官は「うちでも同じように言われるかもしれない」と感じます。
  • 嘘をつく・事実と違う理由を作る:深掘りの質問や、入職後の会話で食い違いが出やすく、信頼を失います。
  • 話が長い:経緯を細かく説明するほど、結論が見えなくなります。
  • 退職理由と志望動機がつながっていない:「人間関係で辞めた」のに志望動機が「給料が良いから」だと、軸が見えません。
  • 無表情で淡々と話す:言葉が整っていても、表情が乏しいと気持ちが伝わりにくくなります。少し口角を上げるだけでも印象は変わります。

面接で落ちやすい人の共通点は面接に落ちる人の共通点|採用担当者が見ている本当のポイントにまとめています。

面接前の準備|退職理由を整理する3つの質問

本番で慌てないために、次の3つを紙に書き出しておくのがおすすめです。

  1. 本当の理由は何か?(まずは本音のまま書く)
  2. その理由は、次の職場で解決できるか?(応募先の求人票・見学・説明で確かめる)
  3. 自分はなぜ福祉の仕事を続けたいのか?(ここが言葉になると、話全体に軸が通ります)

2つ目で「応募先でも解決しない」と分かった場合は、面接対策の前に応募先そのものを見直すタイミングかもしれません。辞めるかどうか迷っている段階なら、介護職を「辞めたい」と思ったときに考えるべきことも読んでみてください。

注意点・デメリット

  • 言い換えは「ごまかし」ではありません:事実を変えるのではなく、伝える順番と言葉を整えるだけです。事実と違う理由を作るのはやめましょう。
  • 例文に頼りすぎると逆効果:例文をそのまま話すと、深掘りの質問で言葉に詰まります。自分の経験に置き換えて準備してください。
  • どれだけ準備しても合わない法人はある:面接は相性の確認でもあります。不採用は「あなたがダメ」という意味ではなく、条件や方針が合わなかっただけのこともあります。
  • ハラスメントなど深刻な理由の場合:面接で詳しく話す必要はありません。「職場環境の問題で退職しました」と簡潔に伝え、次にしたいことを中心に話せば十分です。在職中で困っている場合は、都道府県労働局の総合労働相談コーナーなど公的な相談窓口も利用できます。

まとめ

  • 面接官は「同じ理由でまた辞めないか」「話に一貫性があるか」「前の職場をどう語るか」を見ている
  • 退職理由は「事実→考えたこと→次にしたいこと」の順で、事実は短く、次にしたいことを厚く話す
  • 人のことは「仕組み・環境」に、お金の話は「担いたい役割」に、方針の違いは「大切にしたいケア」に言い換える
  • 家庭の事情は正直に。「今どの条件なら確実に働けるか」をはっきり伝える
  • 「なぜ福祉の仕事を続けたいのか」が言葉になると、退職理由にも軸が通る

一人で整理するのが不安なら、転職支援サービスも選択肢に

退職理由の伝え方は、自分一人だと「本音」と「伝え方」の線引きが難しいものです。介護専門の転職支援サービスでは、応募先に合わせた面接対策や、条件面の確認を相談できる場合があります。利用は無料のサービスが多いので、自分に合うかどうかを比べてから使うのがおすすめです。

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