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結論:転職回数が多いこと自体で不採用が決まることは、介護・福祉の面接ではそれほど多くありません。
面接官が本当に気にしているのは「回数」ではなく、「次もすぐ辞めてしまわないか」という一点です。
だからこそ、退職理由に一貫性を持たせ、「今回は長く働ける理由」を具体的に示せれば、転職回数はむしろ経験の幅として評価されることもあります。
この記事を書いた人
社会福祉法人の人事責任者として、約700名規模の法人で採用・労務・組織開発・業務効率化を担当しています。これまで数多くの面接を担当してきました。
面接官は「転職回数」の何を見ているのか
採用する側として正直にお話しすると、履歴書を開いて職歴の行数が多いと、一瞬「おや」と思うのは事実です。ただ、その「おや」は不採用の判断ではありません。「この人に何があったのか、面接で聞いてみよう」という確認ポイントが1つ増えるだけです。
私が面接で実際に確かめているのは、主に次の3つです。
- 辞めた理由に共通のパターンがあるか(毎回「人間関係」で辞めている、など)
- その理由が、うちの法人でも再発しそうか
- 本人がそれを自覚し、次に向けて何か変えようとしているか
つまり、見られているのは過去の回数そのものより、「これからの定着の見込み」です。介護・福祉の現場は人手不足が続いていて、採用する側も「経験者なら来てほしい」のが本音です。だからこそ、定着の不安さえ解消できれば、転職回数が多い方でも十分に採用のチャンスがあります。
介護業界では「転職回数が多い=即不利」になりにくい理由
一般企業に比べると、介護・福祉業界では転職回数に対する見方が比較的柔軟です。理由としては次のようなものがあります。
- 業界内での転職が珍しくない:特養、老健、グループホーム、デイサービス、訪問介護など、事業形態が多様で、キャリアの中で職場を変える人が多い業界です。
- 経験が次の職場でそのまま活きる:複数の事業所を経験していると、さまざまな介護度・記録方法・チーム体制を知っていることになります。
- 資格と実務経験が評価の軸になりやすい:介護福祉士の受験資格の「実務経験」は、複数の事業所での経験を通算できるため、職場を変えてもキャリアが途切れるわけではありません(詳細な要件は公益財団法人社会福祉振興・試験センターの公式情報をご確認ください)。
ただし、「柔軟」なのはあくまで理由を納得できる形で説明できた場合です。説明がないと、どの業界でも不安材料になります。
転職回数が多くても採用されるための5つのコツ
1. 退職理由を「一本の軸」でつなげる
職歴がバラバラに見えると、面接官は「行き当たりばったりなのかな」と感じます。そこで、これまでの転職を自分なりの軸でつなげて説明しましょう。
たとえば、次のような言い方です。
「最初はデイサービスで在宅の方の生活を知り、その後、より重度の方のケアを学びたくて特養に移りました。今回は、これまでの経験を活かして、看取りまで含めた長期的な関わりができる職場で腰を据えて働きたいと考えています。」
すべての転職を前向きに言い換える必要はありませんが、「経験が積み上がってきた」ストーリーが見えると、面接官の印象は大きく変わります。
2. ネガティブな理由は「事実+学び+次への対策」で話す
人間関係や職場環境が原因で辞めたこと自体は、介護の現場では決して珍しくありません。隠す必要はありませんが、前職の悪口に聞こえないように話すのがポイントです。
| NGな伝え方 | 面接官に響く伝え方 |
|---|---|
| 「上司がひどい人で、もう無理でした」 | 「ケアの方針について相談できる体制がなく、自分なりに改善を提案しましたが難しかったため、チームで話し合える職場を探しています」 |
| 「残業が多すぎて辞めました」 | 「長く続けるために働き方を見直したいと考えました。今回は勤務体制を事前にしっかり確認したうえで応募しています」 |
面接官として一番安心するのは、「同じ理由でまた辞めないために、今回はここを確認しました」という一言です。
3. 「今回は長く働ける理由」を具体的に示す
転職回数が多い方の面接で、私が最も重視するのはここです。「長く働きたいです」だけでは、正直なところ誰でも言えてしまいます。
説得力が増すのは、応募先の特徴と自分の希望が一致している根拠を示すことです。
- 「御法人の○○という理念(研修制度・勤務体制など)に惹かれた」と具体的に言える
- 家庭の事情が落ち着いた、通勤圏内に引っ越したなど、生活面の変化がある
- 取得したい資格(介護福祉士、ケアマネジャーなど)があり、そのために実務経験を積みたい
志望動機の組み立て方は志望動機で差がつくポイント|介護・福祉業界編で詳しく解説しています。
4. 短期離職は正直に、ただし短く
数か月で辞めた職場がある場合、履歴書から省略したくなる気持ちは分かります。しかし、職歴を省略・偽って記載することは経歴詐称にあたるおそれがあり、発覚した場合は内定取り消しなどのトラブルにつながる可能性があります。雇用保険や年金の加入履歴などから、入職後に分かるケースもあります。
短期離職は正直に書いたうえで、面接では理由を1〜2文で簡潔に伝え、話の重心を「これから」に移すのがコツです。長々と弁解するほど、かえって印象に残ってしまいます。
5. 職務経歴書で「できること」を見える化する
職歴が多い方は、時系列だけの職務経歴書だと「転職の多さ」ばかりが目立ちます。そこでおすすめなのが、経験を「スキル・業務」ごとにまとめる書き方です。
- 対応してきた事業形態(特養・デイ・訪問など)
- 経験した業務(入浴・排泄・食事介助、記録、送迎、夜勤、看取り、新人指導など)
- 保有資格と取得時期
こうまとめると、面接官には「いろいろな現場で即戦力になれる人」として映ります。
面接でよく聞かれる質問と答え方の例
転職回数が多い方が、面接で聞かれやすい質問と答え方の方向性をまとめます。
Q.「転職が多いようですが、理由を教えてください」
→ 軸でつなげたストーリー(コツ1)を、1〜2分程度で簡潔に話します。
Q.「うちでも同じことにならないと言えますか?」
→ 「前回は○○を確認せずに入職してしまったので、今回は面接や見学で○○を確認しました」と、具体的な対策で答えます。
Q.「どれくらい働くつもりですか?」
→ 年数を無理に約束する必要はありません。「まずは○○の資格取得を目標に、実務経験を積みたい」など、目標と結びつけて答えると自然です。
面接全体で見られているポイントは、面接に落ちる人の共通点|採用担当者が見ている本当のポイントもあわせて参考にしてください。
注意点・デメリットも知っておこう
ここまで「転職回数が多くても採用のチャンスはある」とお伝えしてきましたが、公平のためにデメリットもお伝えします。
- 法人によって評価基準は違う:規模の大きい法人や、定着率を重視している法人では、転職回数を慎重に見るところもあります。すべての職場で同じように評価されるわけではありません。
- 役職・リーダー候補の採用では不利になりやすい:長期的なマネジメントを期待するポジションでは、在籍年数を重視されることがあります。
- 転職を重ねるほど説明の難易度は上がる:次の転職で「さらに1回増える」ことを考えると、今回は条件確認を丁寧にし、ミスマッチを防ぐことが何より大切です。
- 「辞めグセ」を自分でも感じるなら、一度立ち止まる:転職で解決する悩みもあれば、どこへ行っても起こる悩みもあります。焦って次を決めるより、何が合わなかったのかを整理する時間を取るのも一つの選択です。
入職後のミスマッチを防ぐために確認したい項目は、介護職の内定後に必ず確認すべき労働条件にまとめています。
一人で説明を考えるのが不安なら、転職支援サービスも選択肢
転職回数が多い場合、「自分の経歴をどう伝えればいいか分からない」「応募先がどれくらい転職回数を気にするのか知りたい」と悩む方も多いと思います。
介護・福祉専門の転職支援サービスでは、担当者が応募先との間に入り、経歴の伝え方の相談や、職場の雰囲気・定着状況などの情報提供をしてくれる場合があります。採用する側から見ても、エージェント経由の応募は、事前に経歴の背景を共有してもらえるため、面接前の不安が減るというメリットがあります。
転職サイトとエージェントの使い分けは転職サイトと転職エージェントの違い|介護職はどちらを使うべき?で解説しています。ただし、サービスによって対応エリアや求人の量は異なりますし、紹介された求人に必ず応募する必要はありません。自分のペースで使うことが大切です。
まとめ
- 面接官が見ているのは転職の「回数」ではなく、「次は定着できるか」
- 退職理由を一本の軸でつなげ、経験が積み上がってきたストーリーにする
- ネガティブな理由は「事実+学び+次への対策」で、前職の悪口にしない
- 「今回は長く働ける理由」を、応募先の特徴と結びつけて具体的に示す
- 短期離職も正直に書き、説明は短く、話の重心は「これから」へ
転職回数が多いことは、見方を変えれば「いろいろな現場を知っている」という強みでもあります。採用する側として、自分の経歴にきちんと向き合って話してくれる方には、回数に関係なく「一緒に働いてみたい」と感じます。自信を持って面接に臨んでください。
資格や経験を活かして転職先を探すなら、介護専門の求人サイト「かいご畑」も選択肢のひとつです。


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