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結論:介護・福祉の採用で座談会や職場見学会を開くと、応募者が入職前に職場を自分の目で確かめられるので、入職後のギャップを小さくできます。
運営のコツは、①30分程度の短い時間で、②参加者に事前に質問を考えてきてもらい、③経験年数の違う職員に答えてもらうことです。
あわせて、法人の側も「見られている」意識を持ち、清掃や職員の様子など、職場の当たり前を整えておくことが大切です。
この記事を書いた人
社会福祉法人の人事責任者として、約700名規模の法人で採用・労務・組織開発・業務効率化を担当しています。これまで数多くの面接を担当してきました。採用の工夫として、座談会やお仕事体験会を実際に企画・運営しています。
なぜ介護・福祉の採用で座談会・見学会が効くのか
介護・福祉の仕事は、求人票の文字だけでは伝わりにくい部分が多い仕事です。職員同士の関わり方、利用者さんへの接し方、忙しい時間帯の空気感などは、実際に見てもらわないと分かりません。
入職してから「思っていたのと違う」と感じると、早期離職につながりやすくなります。入職前のギャップはゼロにはできませんが、小さくすることはできます。そのための手段として、座談会や見学会はとても相性がよい取り組みです。
採用担当者の現場から(筆者の実体験)
筆者の法人では、採用の工夫として座談会とお仕事体験会を行っていて、「やってよかった」と感じている取り組みです。実感として、見学や座談会に参加してから入職した人は、入職後のギャップをあまり感じなくなります。参加しなかった人との差は、見学をしてもらうことで埋められると考えています。
入職前のギャップ対策全体については、内定から入職までにやること|介護・福祉の採用でギャップを小さくする方法でまとめています。
座談会の基本設計|筆者の法人での進め方
筆者の法人で行っている座談会の基本形は次のとおりです。
| 項目 | 筆者の法人での進め方 |
|---|---|
| 時間 | およそ30分 |
| 事前準備(参加者) | 参加者に、事前に質問を考えてきてもらう |
| 参加する職員 | 新卒で入った職員、経験5年、経験10年など、経験年数の違う職員 |
| 進め方 | 参加者が職員に、ざっくばらんに質問していく |
ポイント1:時間は30分程度に絞る
長時間にすると、参加する側も職員側も負担が大きくなります。30分程度なら、現場の職員にも協力をお願いしやすく、参加者も気軽に申し込めます。
ポイント2:参加者に事前に質問を考えてきてもらう
事前に質問を考えてきてもらうと、当日の会話が止まりにくくなり、参加者が本当に知りたいことに時間を使えます。申し込みの案内に「当日は職員に質問できます。聞いてみたいことを考えてきてください」と一言添えておくとよいでしょう。
ポイント3:経験年数の違う職員に参加してもらう
新卒の職員、経験5年、経験10年といった、経験の違う職員がそろうと、参加者は「入って1年目はどうか」「数年後にどうなっているか」「長く働いている理由は何か」を具体的にイメージできます。特定の立場の話だけにならないので、職場の姿を立体的に伝えられます。
ポイント4:「ざっくばらん」に話せる雰囲気をつくる
人事担当者が話を仕切りすぎると、説明会のような堅い場になってしまいます。進行役は最低限にとどめ、参加者と職員が直接話せる時間を多く取るのがコツです。
採用担当者は座談会で何を見ているか
座談会は選考の場ではないと案内することが多いですが、採用担当者としては、参加者の様子から得られる情報も少なくありません。筆者が特に見ているのは傾聴力です。
- 質問の仕方:用意してきた質問を、相手に伝わるように聞けているか
- 話を聞いている様子:職員が答えている間、相手の話に関心を持って聞いているか
介護・福祉の仕事では、利用者さんやご家族の話を聞く場面が毎日あります。座談会での「聞く姿勢」には、その人のふだんの関わり方が表れやすいと感じています。
なお、座談会で得た印象はあくまで参考情報です。応募者の適性や能力と関係のないこと(家族のこと、思想・信条など)は、座談会の場でも話題にしないよう、参加する職員にも事前に伝えておきましょう。厚生労働省は「公正な採用選考」の考え方として、本人に責任のない事項や本来自由であるべき事項を把握しないよう求めています。詳しくは厚生労働省の公式サイトでご確認ください。
応募者側から見た座談会のポイントは、介護の職場見学・座談会で採用側が見ているポイントで解説しています。求職者向けの記事ですが、運営する側が「参加者はどんな準備をしてくるか」を知る参考になります。
職場見学の受け入れで整えておきたいこと
清掃面は「細かく見られる」前提で整える
筆者は求職者向けの記事で、「見学では施設の清掃面を細かく見たほうがいい」とお伝えしています。応募者の方が見落としがちなポイントですが、だからこそ、よく見ている応募者にはしっかり伝わります。
受け入れる法人側は、見学当日だけ取り繕うのではなく、ふだんから共用スペースの床や隅、トイレ・洗面所、物品の置き方などが整っているかを確認しておきましょう。清掃の状態は、職員の余裕や職場の管理の姿勢がそのまま表れる部分です。
現場の職員にも見学の予定を共有しておく
- 見学の日時と参加者の人数を、受け入れる事業所に事前に伝える
- 案内する職員を決めておき、よく聞かれる質問(勤務体制・研修・休みの取り方など)に答えられるようにしておく
- 利用者さんのプライバシーに配慮し、見学ルートや撮影禁止などのルールを決めておく
見学希望への返信は早く
見学や座談会の申し込みも、応募と同じく返信の速さが大切です。筆者は、応募から返信までのリードタイムを短くすることが他の法人に勝つ鍵だと考えています。見学の申し込みにもできるだけ早く返信し、日程の候補を複数出しましょう。詳しくは応募から面接までのリードタイム|介護・福祉の採用は返信の速さで決まるをご覧ください。
座談会・見学会の運営チェックリスト
- □ 時間は30分程度に設定した
- □ 案内文に「質問を考えてきてください」と書いた
- □ 新卒・中堅・ベテランなど、経験年数の違う職員に協力をお願いした
- □ 参加する職員に、聞いてはいけない事項(家族・思想信条など)を共有した
- □ 見学ルートの清掃・整理整頓を確認した
- □ 受け入れる事業所に日時・人数を伝え、案内役を決めた
- □ 申し込みへの返信を、できるだけ早く行う体制にした
- □ 参加後のお礼と、応募の案内の連絡方法を決めた
注意点・デメリット
- 現場の負担がかかる:職員が業務を抜けて参加するため、シフトの調整が必要です。開催日や時間帯は、現場の忙しさを避けて設定しましょう。
- 参加する職員によって印象が変わる:話す職員の人柄が、そのまま職場の印象になります。良いことだけを話すよう求めるのではなく、大変なことも正直に話してもらうほうが、入職後のギャップは小さくなります。
- 座談会だけで職場のすべては伝わらない:夜勤の体制や繁忙期の様子などは、短い時間では伝わりにくい部分です。労働条件は、面接や内定時の書面でもきちんと説明しましょう。
- 参加者の様子を合否の決め手にしない:座談会は応募者が職場を知るための場です。選考ではないと案内したなら、その約束を守ることが法人の信頼につながります。
入職後の早期離職を防ぐための面接での確認については、早期離職を防ぐ採用面接|介護・福祉で「なぜこの仕事か」を確かめる質問、入職後のフォローは入職後1か月のフォロー|介護・福祉の新人が辞めたいと感じるサインと受け入れ準備もあわせてご覧ください。
座談会・見学会の参加者を集めるには
座談会や見学会は、開いても参加者が集まらなければ効果が出ません。法人のホームページやSNSでの告知に加えて、求人の掲載先そのものを見直すことも一つの方法です。求人原稿に「座談会・職場見学あり」と書いておくと、職場を確かめてから応募したい人に届きやすくなります。
求人の掲載先を比較するときの選択肢の一つとして、求人広告サービスの情報を紹介します。掲載料金や条件は変わるため、必ず公式サイトで最新の内容を確認してください。
まとめ
- 座談会・見学会は、応募者が入職前に職場を確かめられるので、入職後のギャップを小さくできる
- 座談会は30分程度、事前に質問を考えてきてもらい、経験年数の違う職員が答える形が運営しやすい
- 採用担当者は、質問の仕方と話を聞く様子から「傾聴力」を見ることができる(ただし合否の決め手にはしない)
- 見学では清掃面も細かく見られる。ふだんから職場を整えておくことが、いちばんの採用対策になる
- 申し込みへの返信は早く。応募と同じく、スピードが他の法人との差になる
座談会や見学会は、大きな費用をかけずに始められる採用の工夫です。まずは小さく1回開いてみて、参加者や職員の声をもとに改善していくことをおすすめします。


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