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結論から言うと、ケアマネジャー(介護支援専門員)になるには「①国家資格や相談援助業務で5年以上・900日以上の実務経験 → ②都道府県の試験に合格 → ③実務研修を修了 → ④登録・証の交付」という4ステップが必要です。
試験の合格率は近年20%台で、決して簡単ではありません。ただし、介護福祉士として現場経験を積んでいる方にとっては、最も現実的なキャリアアップの選択肢のひとつです。
この記事では、採用する側の人事の視点から「ケアマネ資格は転職・キャリアでどう評価されるのか」まで含めて解説します。
この記事を書いた人
社会福祉法人の人事責任者として、約700名規模の法人で採用・労務・組織開発・業務効率化を担当しています。これまで数多くの面接を担当してきました。
ケアマネジャー(介護支援専門員)とはどんな仕事?
ケアマネジャーは、介護保険サービスを利用する方の「ケアプラン(居宅サービス計画・施設サービス計画)」を作成し、サービス事業者や医療機関、家族との調整を担う専門職です。正式名称は「介護支援専門員」といいます。
主な職場は次のとおりです。
- 居宅介護支援事業所(在宅の利用者を担当する、いわゆる「居宅ケアマネ」)
- 特別養護老人ホーム・介護老人保健施設などの介護保険施設(「施設ケアマネ」)
- グループホーム、小規模多機能型居宅介護など
- 地域包括支援センター
現場で直接身体介護をする仕事から、「利用者の生活全体を設計・調整する仕事」へ役割が変わるのが大きな特徴です。
ケアマネジャーになるまでの4ステップ
ステップ1:受験資格となる実務経験を積む
ケアマネ試験(正式名称:介護支援専門員実務研修受講試験)を受けるには、次のいずれかの業務に通算5年以上、かつ従事した日数が900日以上あることが必要です。
- 法定資格に基づく業務:介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士、看護師・准看護師、医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士・栄養士、歯科衛生士、あん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師、柔道整復師、薬剤師 など
- 相談援助業務:施設等で配置が義務づけられている相談員としての業務(生活相談員、支援相談員、相談支援専門員、主任相談支援員など)
注意したいのは、「介護職として5年働いた」だけでは受験資格にならない点です。介護福祉士などの資格を持って、その資格に基づく業務に従事した期間がカウントされます。つまり、無資格・初任者研修・実務者研修のみの期間は、原則として実務経験に含まれません(相談員業務の場合を除く)。
また、教育・研究・営業・事務など、要介護者等に直接関わらない業務の期間は対象外です。細かな判定は都道府県ごとの試験実施機関が行うため、受験前に必ずお住まいの都道府県の受験要項を確認してください。
ステップ2:介護支援専門員実務研修受講試験に合格する
試験は各都道府県が実施し、例年10月に行われます。令和8年度(第29回)は2026年10月11日(日)に実施予定で、申込受付は多くの都道府県で6月頃に行われました。
試験は「介護支援分野」と「保健医療福祉サービス分野」の2分野から出題される、五肢複択(5つの選択肢から正しいものを複数選ぶ)形式です。両方の分野でそれぞれ合格基準を満たす必要があるため、得意分野だけで逃げ切ることはできません。
厚生労働省の公表によると、第28回(令和7年度)試験は受験者50,601人、合格者12,961人、合格率25.6%でした。およそ4人に1人しか合格しない試験です。合格者の職種を見ると、介護福祉士が最も多くを占めています。
ステップ3:介護支援専門員実務研修を修了する
試験に合格しただけでは、まだケアマネジャーとして働けません。合格後に都道府県が実施する「実務研修」を受講・修了する必要があります。講義・演習に加えて、居宅介護支援事業所での実習も含まれ、数か月にわたって行われるのが一般的です。受講料は都道府県によって異なります。
ステップ4:登録して介護支援専門員証の交付を受ける
実務研修を修了したら、都道府県に登録を申請し、「介護支援専門員証」の交付を受けます。これでようやくケアマネジャーとして業務に就くことができます。なお、介護支援専門員証には有効期間があり、更新するためには所定の研修を受ける必要があります。
採用担当者はケアマネ資格をこう見ている
ここからは、採用する側としての本音をお伝えします。
①「現場経験×ケアマネ資格」は強い
私が面接で「おっ」と思うのは、介護福祉士として現場経験を積んだうえでケアマネ資格を持っている方です。現場の大変さを知っているケアマネは、ケアプランが現実的で、現場職員との関係づくりもうまい傾向があります。法人内での異動の選択肢も広がるため、採用する側としては長く活躍してもらえるイメージが持ちやすいのです。
②「ケアマネを取った理由」は必ず聞く
面接では「なぜケアマネを目指したのか」を聞くことが多いです。ここで「夜勤がつらいから」「体力的に楽そうだから」だけだと、正直少し不安になります。本音としてそれがあるのは当然ですが、「利用者の生活全体に関わりたい」「現場で感じた課題をプラン作成で解決したい」といった前向きな理由も一緒に話せると、印象は大きく変わります。
③資格を持っていても、すぐケアマネ職に就くとは限らない
施設によっては、ケアマネ資格を持つ方を介護職として採用し、ケアマネのポストが空いたタイミングで配置することもあります。「ケアマネとして働きたい」のか「資格手当がつく介護職でもよい」のかを、応募前・面接時にはっきり伝えることが大切です。入職後のミスマッチを防ぐためにも、内定後に確認すべき労働条件とあわせてチェックしておきましょう。
ケアマネを目指すときの注意点・デメリット
良いことばかりではありません。目指す前に、次の点も知っておいてください。
- 必ず給与が上がるとは限らない:夜勤がなくなる分、夜勤手当が減り、手取りが介護職時代とあまり変わらない、または下がるケースもあります。求人票では「基本給」と「手当」の内訳を確認しましょう。
- 書類業務・調整業務が多い:ケアプランの作成、モニタリング記録、サービス担当者会議の調整など、デスクワークと連絡調整の比重が大きくなります。「利用者と直接関わる時間が減って寂しい」と感じる方もいます。
- 板挟みになりやすい:利用者・家族の希望、事業所の都合、制度上のルールの間で調整役になるため、精神的な負担を感じることがあります。
- 資格の維持にコストがかかる:更新のための研修には時間と受講料がかかります。法人が費用を負担してくれるかどうかは、職場によって異なります。
- 制度が見直される可能性がある:2026年9月時点で、国の審議会では受験要件の実務経験年数の短縮や、対象資格の追加、更新制度のあり方などの見直しが検討されています。まだ決定事項ではないため、最新情報は厚生労働省や都道府県の公式サイトで確認してください。
介護福祉士からケアマネを目指す人におすすめの進め方
- まず介護福祉士を取得する:受験資格のカウントは資格取得後から始まるため、早めの取得が近道です。取得ルートは介護福祉士の資格取得ルートを解説で詳しく紹介しています。
- 実務経験の日数を記録しておく:転職を挟む場合、前職の「実務経験証明書」が必要になります。退職時に証明書の発行をお願いできるよう、円満に退職しておくことも大切です。
- ケアマネ取得を支援してくれる職場を選ぶ:受験対策の勉強会、研修費用の補助、資格取得後のケアマネ職への配置実績があるかどうかは、職場によって大きく違います。面接の逆質問で「ケアマネ資格を取った職員はどんなキャリアを歩んでいますか?」と聞くのも有効です。
これから資格の階段を登っていく方は、初任者研修と実務者研修の違いと選び方もあわせて読んでみてください。
まとめ
- ケアマネになるには「実務経験5年・900日以上 → 試験合格 → 実務研修修了 → 登録」の4ステップが必要
- 「介護職として5年」ではなく、「介護福祉士などの資格に基づく業務で5年」がカウント対象
- 第28回試験の合格率は25.6%。計画的な対策が必要
- 採用側は「現場経験×ケアマネ資格」を高く評価する。ただし「なぜケアマネか」は必ず聞かれる
- 給与・業務内容・資格維持の負担など、デメリットも理解したうえで目指すのがおすすめ
ケアマネ資格は、介護・福祉の仕事を長く続けるうえで選択肢を大きく広げてくれる資格です。ただ、資格取得を応援してくれる職場かどうかで、その道のりの大変さは大きく変わります。「今の職場では目指しにくい」と感じたら、資格支援制度が整った職場を探してみるのもひとつの方法です。
資格支援のある職場を探すなら
介護・福祉業界に特化した転職支援サービスなら、「資格取得支援あり」「ケアマネへのキャリアパスあり」といった条件で職場を相談できます。
資格や経験を活かして転職先を探すなら、介護専門の求人サイト「かいご畑」も選択肢のひとつです。


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