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結論から言うと、介護の職場見学や座談会は「質問をする場」であると同時に、採用側が「あなたの聞く姿勢」を見ている場でもあります。
筆者が座談会で見ているのは、質問の内容だけではありません。職員が答えているときに、どんな様子で話を聞いているかをよく見ています。介護の仕事で大切な「傾聴力」が、そこに表れるからです。
この記事では、座談会・お仕事体験会の流れ、採用側が見ているポイント、事前に用意しておきたい質問、見学で確認しておきたいことをまとめます。
この記事を書いた人
社会福祉法人の人事責任者として、約700名規模の法人で採用・労務・組織開発・業務効率化を担当しています。これまで数多くの面接を担当してきました。採用の工夫として、座談会やお仕事体験会も実施しています。
介護の座談会・お仕事体験会とは
座談会やお仕事体験会は、応募を考えている人が、実際に働いている職員と直接話したり、仕事の一部を体験したりできる場です。求人票や面接だけでは分からない、職場の雰囲気や働き方を知ることができます。
法人によって内容はさまざまですが、筆者の法人で行っている座談会の流れは次のとおりです。
- 時間はおよそ30分
- 参加者には、事前に質問を考えてきてもらう
- 新卒で入った職員、経験5年、経験10年など、経験年数の違う職員が参加する
- 参加者が職員に、ざっくばらんに質問していく
経験年数の違う職員に話を聞けるので、「入職1年目はどうだったか」「数年働くとどう変わるか」「長く働いている理由は何か」といった、入職後の姿を具体的にイメージしやすくなります。
採用側は座談会で何を見ているか|採用担当者のホンネ
見ているのは「傾聴力」
座談会は選考の場ではない、と案内されることも多いですが、採用側の立場から正直にお伝えすると、参加者の様子は自然と目に入ります。筆者が特に見ているのは傾聴力です。
介護の仕事では、利用者さんやご家族の話を、相手の気持ちに寄り添いながら聞く場面が毎日あります。座談会での聞き方には、その人のふだんの「聞く姿勢」が表れやすいのです。
質問の仕方だけでなく、「聞いている様子」も見ている
質問の内容や伝え方も見ていますが、それ以上に注目しているのが、職員が答えている間の様子です。たとえば、次のような点です。
- 相手の顔を見て、うなずきながら聞いているか
- 答えの途中で次の質問を考えるのに気を取られていないか
- 答えを受けて「それなら、〇〇のときはどうですか」と話を広げられるか
- 自分の聞きたいことだけでなく、相手の話に関心を持って聞いているか
質問を用意してくるのは大切ですが、用意した質問を読み上げることに一生懸命になって、答えを聞き流してしまうのはもったいないです。「質問する力」と同じくらい「聞く力」が見られていると考えておくとよいでしょう。
面接で採用担当者が「一緒に働きたい」と感じるポイントは、面接官が「一緒に働きたい」と思う瞬間でも解説しています。
座談会の前に準備しておきたい質問例
経験年数の違う職員が参加する座談会なら、相手に合わせて質問を変えると、より具体的な話が聞けます。
入職1〜2年目の職員に
- 入職して最初の1か月で、大変だったことは何ですか
- 仕事を覚えるまで、どんなふうに教えてもらいましたか
- 分からないことがあったとき、誰に相談していますか
経験5年前後の職員に
- 入職したころと比べて、仕事の内容や役割はどう変わりましたか
- 資格の取得や研修について、職場からどんな支援がありましたか
経験10年以上の職員に
- この職場で長く働いている理由は何ですか
- 新しく入る職員に、どんな人に来てほしいと思いますか
質問は3〜5個ほど用意しておき、話の流れに合わせて選ぶくらいがちょうどよいです。答えを聞いて生まれた疑問を、その場で聞き返せると会話が深まります。
職場見学・体験で確認しておきたいポイント
見学やお仕事体験では、話を聞くだけでなく、職場の様子そのものを見ておくことが大切です。一般的に、次のような点がチェックポイントとして挙げられます。
- 職員同士の声かけ:忙しい時間帯でも、声をかけ合って協力しているか
- 利用者さんへの言葉づかい・接し方:丁寧に、相手のペースに合わせて関わっているか
- 職員の表情:疲れ切った様子の人が多くないか
- 職場の清潔さ・整理整頓:共用スペースや物品が整っているか(下の「採用担当者の現場から」も参照)
- 記録や情報共有の方法:紙中心か、タブレットなどを使っているか
- 新人の教え方:教育担当やマニュアルがあるか
採用担当者の現場から(筆者の実体験)|清掃面は細かく見てほしい
採用する側から見て、応募者の方が見落としがちだと感じるのが施設の清掃面です。見学ではどうしても職員の話や設備の新しさに目が向きがちですが、清掃の状態は細かく見ておくことをおすすめします。たとえば、共用スペースの床や隅、トイレや洗面所、物品の置き方などです。
見学・座談会に参加すると、入職後のギャップが小さくなる
筆者の実感として、見学や座談会に参加してから入職した人は、入職後のギャップをあまり感じなくなります。求人票や面接だけでは伝わりにくい職場の様子を、事前に自分の目で確かめられるからです。入職前に感じる「思っていたのと違う」という差は、見学に参加することで埋められます。迷っているなら、応募の前に一度見学を申し込んでみてください。
求人票で確認しておきたい点は、ブラック施設の見分け方|求人票でチェックすべき7つのポイントにまとめています。見学の前に目を通しておくと、当日見るべき点がはっきりします。
申し込みと当日のマナー
- 申し込みは早めに:希望日をいくつか伝えると、日程を調整してもらいやすくなります
- 服装は清潔感を優先:お仕事体験がある場合は、動きやすい服装や持ち物の指定がないか事前に確認しましょう
- 時間を守る:遅れそうなときは、分かった時点で連絡を入れます
- 利用者さんのプライバシーに配慮する:施設内で見聞きしたことを外で話したり、許可なく撮影したりしないようにしましょう
- お礼を伝える:終わったら、話をしてくれた職員にひと言お礼を伝えると印象がよくなります
注意点|座談会だけで職場を判断しない
座談会やお仕事体験会は、職場を知るうえでとても役立ちます。一方で、次の点には注意が必要です。
- 参加する職員は限られている:話を聞けるのは一部の職員です。配属先の部署やフロアによって雰囲気が違うこともあります
- 短い時間では分からないこともある:夜勤の体制や繁忙期の様子は、見学だけでは見えにくい部分です
- 労働条件は書面で確認する:給与や休日、勤務時間は、座談会での話だけで判断せず、内定時に書面で確認しましょう
座談会で感じた良い印象と、求人票や労働条件の内容をあわせて判断することが大切です。逆質問で職場の実態を確かめる方法は、介護職の面接で差がつく逆質問で解説しています。
見学や座談会がある職場を探すには
座談会やお仕事体験会を開いているかどうかは、法人によって違います。気になる職場があれば、法人のホームページや求人票を確認するほか、直接問い合わせてみるのもひとつの方法です。
転職サイトや転職エージェントを使うと、見学の希望を伝えたり、職場の雰囲気について事前に情報を集めたりしやすくなります。サイトとエージェントの違いは、転職サイトと転職エージェントの違い|介護職はどちらを使うべき?で解説しています。
よくある質問
Q. 座談会に参加すると、応募しなければいけませんか?
A. 法人によって扱いは違いますが、応募前の情報収集として参加できる場合が多いです。申し込みのときに確認しておくと安心です。
Q. 質問が思いつかないときはどうすればいいですか?
A. 「入職して大変だったこと」「長く働いている理由」など、職員自身の経験を聞く質問がおすすめです。答えを聞きながら、気になったことを聞き返してみましょう。
Q. 座談会での様子は選考に影響しますか?
A. 選考とは関係ないと案内している法人もありますが、採用側の目には参加者の様子が自然と入ります。肩の力を抜きつつ、相手の話をしっかり聞く姿勢を大切にしてください。
まとめ
- 座談会は30分ほどで、経験年数の違う職員にざっくばらんに質問できる場(筆者の法人の場合)
- 採用側が見ているのは、質問の内容だけでなく、答えを聞いているときの「傾聴力」
- 質問は3〜5個用意し、答えを受けて聞き返せると会話が深まる
- 見学では、職員同士の声かけや利用者さんへの接し方に加えて、見落としがちな清掃面も細かく見る
- 見学・座談会に参加しておくと、入職後のギャップを小さくできる
- 座談会の印象だけで決めず、労働条件は書面で確認する
職場の雰囲気を自分の目で確かめてから応募することは、入職後のミスマッチを減らすいちばんの近道です。気になる職場があれば、見学や座談会の機会を積極的に活用してみてください。


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