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結論から言うと、介護職の給与アップは「①資格を取る」「②役職・職種を広げる」「③処遇改善がきちんと給与に反映される職場を選ぶ」の3つの組み合わせで決まります。
同じ介護職でも、資格・勤続年数・施設の種類によって月給には数万円の差があります。
この記事では、採用・給与制度を扱う人事の立場から、介護職のキャリアパスの全体像と、現実的な給与アップの進め方を解説します。
この記事を書いた人
社会福祉法人の人事責任者として、約700名規模の法人で採用・労務・組織開発・業務効率化を担当しています。これまで数多くの面接を担当してきました。
介護職の給与の「いま」を数字で確認する
まずは公的なデータで相場を押さえておきましょう。厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査」によると、介護職員等処遇改善加算を取得している事業所で働く介護職員(常勤・月給)の平均給与額は338,200円です(基本給に加え、各種手当や賞与などの一時金を月額換算したものを含みます)。
同じ調査では、次のような差も示されています。
| 比較の切り口 | 平均給与額(常勤・月給) |
|---|---|
| 勤続1年 | 298,760円 |
| 勤続10年以上 | 359,040円 |
| 保有資格:初任者研修 | 324,830円 |
| 保有資格:実務者研修 | 327,260円 |
| 保有資格:介護福祉士 | 350,050円 |
出典:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」。詳細は厚生労働省の公式サイトでご確認ください。
つまり、「資格」と「長く働ける職場にいること」が、データ上もはっきり給与に効いています。
介護職の代表的なキャリアパス
介護職のキャリアは「現場を極める」「現場をまとめる」「専門職に広げる」の3方向に分かれます。
1. 現場を極める:介護福祉士・認定介護福祉士
国家資格である介護福祉士は、介護職のキャリアの土台です。働きながら目指す場合は「実務経験3年以上+実務者研修修了」で受験資格を得る実務経験ルートが一般的です。資格手当がつく法人が多く、上の表のとおり給与差にもつながります。
取得ルートの詳細は介護福祉士の資格取得ルートを解説|働きながら目指す実務経験ルートとはでまとめています。
2. 現場をまとめる:リーダー・主任・管理者
ユニットリーダーやフロアリーダー、主任、さらに管理者・施設長へと進む道です。役職手当がつくほか、シフト管理や新人育成、ご家族対応など、仕事の幅が大きく広がります。
3. 専門職に広げる:サービス提供責任者・生活相談員・ケアマネジャー
- サービス提供責任者:訪問介護の計画作成やヘルパーの調整を担う職種。介護福祉士や実務者研修修了者などが就けます。
- 生活相談員:入退所の相談や関係機関との調整を担う職種。資格要件は自治体によって異なるため、希望する地域のルールを確認しましょう。
- ケアマネジャー(介護支援専門員):介護福祉士などの資格に基づく実務経験5年以上(900日以上)で受験資格を得られます。詳しくはケアマネジャーになるには|受験資格から登録までの4ステップと採用側の本音をご覧ください。
給与アップの具体的な方法5つ
方法1:資格を順番に取る
王道は「初任者研修 → 実務者研修 → 介護福祉士」の順番です。法人によっては資格取得支援(受講費の補助やシフト配慮)があるので、まず自分の職場の制度を確認しましょう。研修の違いは初任者研修と実務者研修の違いと選び方で解説しています。
方法2:役職を目指す
リーダー・主任などの役職には手当がつくのが一般的です。「リーダーをやってみたい」と上司や面談の場で伝えるだけでも、候補に挙がりやすくなります。
方法3:夜勤や施設形態を見直す
夜勤手当は給与を押し上げる大きな要素です。また調査結果でも、特別養護老人ホームや介護老人保健施設など、施設の種類によって平均給与に差があります。ただし体への負担や家庭との両立も含めて判断しましょう。
方法4:処遇改善が「見える」職場を選ぶ
介護職員等処遇改善加算は、国が介護職の賃上げのために設けている仕組みです。2026年6月には臨時の介護報酬改定が行われ、厚生労働省は介護職員について月1.0万円の賃上げ、さらに生産性向上などに取り組む事業所では上乗せを行う方針を示しています。
ただし、加算がどのように配分されるかは法人ごとに異なります。加算の取得状況や配分方法を説明してくれる職場かどうかは、大事な判断材料です。
方法5:キャリアパスが整った法人へ転職する
今の職場で昇給や役職の道筋が見えない場合は、転職も選択肢です。処遇改善加算の要件には、職位や職責に応じた任用要件・賃金体系の整備や研修の機会確保などが含まれています。つまり、「キャリアパスを説明できる法人」は制度面でもきちんとしている可能性が高いと言えます。
採用担当者は「キャリアの考え方」をこう見ている
ここからは採用する側としての本音です。
私が面接で「今後どんな介護職になりたいですか?」と聞くとき、立派な答えを期待しているわけではありません。見ているのは、自分の現在地と次の一歩を、自分の言葉で話せるかどうかです。
- 「3年後に介護福祉士を取りたいので、実務者研修の支援がある御法人を選びました」
- 「いずれはリーダーとして新人さんの育成に関わりたいです」
このように具体的な一歩を語れる人は、入職後も成長してくれるイメージが湧きます。逆に「給料が上がるならどこでも」という印象だけが残ると、また条件次第で辞めてしまうのでは、と不安になるのが正直なところです。
給与アップを目指すこと自体はまったく悪いことではありません。「給与を上げたい」+「そのためにこう成長したい」をセットで伝えるのがコツです。
注意点・デメリット
- 役職=必ず大幅な給与アップではない:役職手当がついても、残業や責任が増えて「割に合わない」と感じる人もいます。手当の額と業務量を事前に確認しましょう。
- 資格を取ってもすぐ給与に反映されない場合がある:資格手当の有無や金額、反映時期は法人によって異なります。
- 転職で給与が上がっても、勤続年数がリセットされる:調査結果でも勤続年数による差があるように、昇給や賞与の算定で不利になるケースもあります。
- 平均給与はあくまで平均:地域、雇用形態、夜勤の有無で大きく変わります。求人を見るときは「基本給」「手当」「賞与」を分けて比べましょう。
内定後に確認すべき項目は介護職の内定後に必ず確認すべき労働条件で詳しく解説しています。
まとめ
- 公的データでも、資格と勤続年数が給与に反映されている
- キャリアパスは「現場を極める」「現場をまとめる」「専門職に広げる」の3方向
- 給与アップは「資格」「役職」「働き方」「処遇改善の見える職場」「転職」の組み合わせで考える
- 面接では「給与を上げたい理由」と「そのための成長の一歩」をセットで伝える
今の職場でキャリアの道筋が見えないと感じたら、キャリアパスや資格支援が整った職場の求人を一度見てみるのもおすすめです。転職サイトとエージェントの使い分けは転職サイトと転職エージェントの違い|介護職はどちらを使うべき?も参考にしてください。
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