ブラック施設の見分け方|求人票でチェックすべき7つのポイント

施設・法人選びのポイント

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結論:ブラック施設かどうかは、求人票の「書き方」と「書いていないこと」である程度見抜けます。
給与の内訳・固定残業代・夜勤の条件・休日数・「変更の範囲」の5点は、応募前に必ずチェックしてください。
そのうえで、求人票で分からない部分は面接や見学で確認する。この2段構えが失敗しない施設選びのコツです。

この記事を書いた人
社会福祉法人の人事責任者として、約700名規模の法人で採用・労務・組織開発・業務効率化を担当しています。これまで数多くの面接を担当してきました。

そもそも「ブラック施設」とは?

この記事でいう「ブラック施設」とは、次のような職場を指します。

  • サービス残業や、記録のための持ち帰り仕事が当たり前になっている
  • 人手不足が慢性化していて、有給休暇がほとんど取れない
  • 求人票に書かれていた条件と、入職後の実態が大きく違う
  • ハラスメントや人間関係の問題を、法人として放置している

介護・福祉の仕事そのものがきついのではなく、「働く環境の整え方」に問題がある法人が一部にある、というのが採用する側から見た実感です。そして、そうした法人は求人票の段階でサインが出ていることが少なくありません。

採用する側だから分かる「求人票の作られ方」

私は人事責任者として、自分の法人の求人票を作る側にいます。作る側から言えるのは、「求人票は、法人が見せたい部分を見せるように作られている」ということです。

これは悪いことではありません。どの法人も魅力を伝えたいのは当然です。ただし、条件がきちんと整っている法人ほど「数字で具体的に書ける」ので、曖昧な表現は使いません。逆に、具体的な数字を書けない項目には、何かしら理由があると考えて読むのがコツです。

求人票でチェックすべき7つのポイント

1. 給与が「総額」だけで、内訳が書かれていない

「月給25万円〜」と大きく書かれていても、その中身が基本給なのか、夜勤手当や処遇改善手当を含んだ額なのかで、実態は大きく変わります。

  • 基本給はいくらか(賞与や退職金の計算基礎になることが多い)
  • 夜勤手当は「何回分」を含んだ金額か
  • 処遇改善関連の手当は毎月支給か、一時金か

「夜勤月5回を含むモデル給与」なのに、夜勤回数が書かれていないケースもあります。基本給が極端に低く、手当で総額を大きく見せている求人は、賞与や退職金が思ったより少ない可能性があるので注意しましょう。

2. 固定残業代(みなし残業代)の表記が不十分

固定残業代を採用している場合、厚生労働省は求人票などに次の3点をすべて明示するよう求めています。

  1. 固定残業代を除いた基本給の額
  2. 固定残業代に関する手当の名称と、何時間分・いくらなのか
  3. その時間を超えた残業については、割増賃金を追加で支払う旨

「固定残業代含む」とだけ書かれていて、時間数や金額が分からない求人は要注意です。介護・福祉の現場で固定残業代を設定していること自体が珍しいので、見つけたら「なぜこの制度にしているのか」を面接で確認してもよいでしょう。

3. 年間休日数が書かれていない・少ない

「4週8休」「シフト制」とだけ書かれていて、年間休日数が書かれていない求人があります。シフト制の職場でも、年間休日数は計算できるはずです。

あわせて、夏季休暇・年末年始休暇が年間休日に含まれているのか、別枠なのかも確認ポイントです。同じ「年間休日110日」でも、特別休暇が別にある法人とない法人では、実際に休める日数が変わります。

4. 夜勤の条件がぼんやりしている

入所系の施設では、夜勤の条件が働きやすさを大きく左右します。

  • 2交代制(長時間夜勤)か、3交代制か
  • 月あたりの夜勤回数の目安
  • 夜勤帯の職員配置(1フロアを何人で見るのか)
  • 夜勤中の休憩・仮眠の取り方

求人票に「夜勤あり」としか書かれていない場合は、面接で必ず具体的に聞きましょう。ここを曖昧にしか答えられない法人は、夜勤の負担が偏っている可能性があります。

5. 「就業場所・業務の変更の範囲」が書かれていない

2024年4月から、求人の段階で「就業場所・業務の変更の範囲」を明示することが求められるようになりました。有期契約の場合は、契約更新の上限(通算期間や更新回数)があればその内容も明示対象です。

複数の事業所を運営する法人では、「入職時はデイサービス配属だけど、将来的に入所施設への異動がありうる」といったことが起こります。これ自体は普通のことですが、異動の可能性があるのかないのかを事前に知っておくことは、長く働くうえでとても大切です。

求人広告のスペースの都合で一部を後から明示することは認められていますが、その場合も原則として面接などで最初に接触するまでに、すべての労働条件を明示する必要があるとされています。面接の段階になってもこのあたりの説明がない場合は、確認してみましょう。

6. 「アットホーム」「やりがい」など抽象的な言葉ばかり

「アットホームな職場です」「やりがいのある仕事です」という言葉自体は、どの法人も使います。問題は、それ以外の具体的な情報がほとんどない場合です。

働きやすい職場づくりに本気で取り組んでいる法人は、「有給取得率」「平均残業時間」「研修制度の内容」「資格取得支援の具体的な金額」など、数字や制度名で語れるものを持っています。抽象的な言葉しか並ばない求人は、アピールできる材料が少ないのかもしれません。

7. いつ見ても同じ求人が出ている

介護業界は全体的に人手不足なので、求人が常に出ていること自体は珍しくありません。ただし、同じ施設の同じ職種が、何か月もずっと大量募集されている場合は、採用しても定着していない可能性があります。

ここは求人票だけでは判断しにくいので、「今回の募集の背景(増員か、欠員補充か)」を面接で聞いてみるのがおすすめです。採用する側としては、この質問をされても嫌な気持ちにはなりません。むしろ、しっかり考えて応募している人だと感じます。

求人票で分からないことは「面接・見学」で確認する

求人票はあくまで入口です。本当の職場の雰囲気は、面接や施設見学でしか分かりません。見学時には次の点を見てみてください。

  • 職員同士の声かけや表情に余裕があるか
  • 利用者さんへの言葉づかいが丁寧か
  • フロアや共有スペースが整理されているか
  • 記録をどのように書いているか(紙か、タブレットか、いつ書いているか)

面接での聞き方のコツは、介護職の面接で差がつく逆質問|採用担当者が「おっ」と思う聞き方でも詳しく解説しています。産休・育休などライフイベントに関わる条件を確認したい方は、産休・育休をとりやすい介護の仕事の探し方もあわせて読んでみてください。

注意点:求人票だけで決めつけない

ここまでチェックポイントを紹介してきましたが、公平のためにお伝えしておきたいこともあります。

  • 小規模な法人は、求人票づくりに慣れていないだけのことがある
    情報が少ないからといって、必ずしもブラックとは限りません。人事専任の担当者がいない法人も多く、書き方が簡素になっているだけのケースもあります。
  • 条件が良い求人=人間関係が良い職場、とは限らない
    給与や休日が整っていても、チームの雰囲気が合わないこともあります。数字だけで判断せず、見学などで「人」も見てください。
  • 判断に迷ったら、公的な窓口に相談できる
    入職後に「聞いていた条件と違う」と感じた場合は、まず労働条件通知書を確認し、必要に応じて労働基準監督署や総合労働相談コーナーなどに相談することもできます。詳しくは厚生労働省の公式サイトをご確認ください。

まとめ

  • 求人票は「法人が見せたい部分」で作られている。具体的な数字がない項目に注目する
  • 給与の内訳・固定残業代・年間休日・夜勤条件・変更の範囲は、応募前に必ずチェック
  • 求人票で分からないことは、面接の逆質問や施設見学で確認する
  • 情報が少ない=ブラックとは限らない。決めつけず、複数の情報源で判断する

一人で求人票を読み比べるのが大変な場合は、介護・福祉に特化した転職支援サービスを使うのもひとつの方法です。担当者を通じて、求人票には載っていない職場の雰囲気や離職状況を確認できることがあります。転職サイトと転職エージェントの使い分けについては、転職サイトと転職エージェントの違い|介護職はどちらを使うべき?で解説しています。

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